若獅子戦表彰式後のの集合写真 (拡大) |
平成26年9月7日、第11回若獅子戦が開催されました。
節目の10回を超え、次のステップへ踏み出した感のある同棋戦。
新章のスタートに相応しく、今回は女流棋士による指導対局や優勝者へのメダル授与など、「新趣向!」が盛沢山の内容でした。
今回も前回と同じく、棋戦史上最多に並ぶ16名がエントリー。
予選リーグ戦(4人一組×4ブロック)及び決勝トーナメント戦を行い覇権を争いました。
ここにも新趣向が見られ、予選の上位がA級で下位がB級というクラス分けがなされました。
言わば、B級は慰安戦の趣ですが、少なくても予選ロス?は解消され、午後まで目標を持って指せる有意義なシステムだと思います。
今振り返って見ても「優勝」という結果は、自分でも不思議な気がします。
前回は「若獅子戦の改名」の話題で会場が盛り上がり、その雰囲気の中で自分のテンションが高くなり優勝へ繋がりました。
今回は別で、第11回若獅子戦が開催されるといういうことは、自分が提唱した「土竜戦への発展解消」の案が‘ボツ’
になった事を意味しますので、モチベーションが低い状態で邪念は無く、単純に将棋を楽しみたい一心で臨みました。
結果的に連続優勝となりましたが、今回は「無欲の勝利」という表現がピッタリの感じでした。
予選2回戦対局風景1 |
今回のターニングポイントは、予選2戦目の武内戦。 序盤で角交換となり、中盤の入り口で私は敵陣攻略の拠点とすべく中段へ角を打ちましたが、小競り合いの局面で短気を起こし角銀と飛車の交換となってしまいました。 自分としては、敵陣へ飛車を打込み駒損の回復を狙うつもりでしたが、武内さんに隙が無く指し継がれ、一気に敗勢に陥りました。 中盤から終盤にかけては「苦しい戦局」が続きましたが、武内陣は「壁銀」の凝り形でしたので、自分としては気持ちを切らす事無く、粘り強く指し続けられました。 最後は捨て身で放った勝負手に、相手が応手を誤り逆転に成功しました。 元々参加者の中でも、圧倒的な棋力の差が有る訳では無いので、運も味方に付けなければ「優勝には届かない!?」様に思います・・・。
本田女流三段による指導対局1 |
そして第11回大会最大のサプライズ企画が、本田小百合女流三段による指導対局。
私の場合は、予選リーグ及び昼食後、決勝トーナメント戦の前に指導対局が組まれました。
広瀬(正)さん曰く「三浦さんの指導対局の時間を捻出する為に、決勝トーメントが一戦少ないスーパーシードになった!?」という事でしたが。
私個人は「シードは、予選3連勝のアドバンテージではないか?」と推測しておりました。
その真相は、トーナメント表の対戦を組んで頂いた鈴木(敏)さんしか知り得ないという事とも記して置きます。
当日は将棋部世話役の広瀬(正)さんが選考会への参戦を控えて、若獅子戦の進行役を担当してくれておりました。
鈴木(敏)さん・広瀬(正)さん、誠にありがとうごさいました。
そして、大変お疲れ様でした。
肝心の指導対局の方ですが、私は飛車落ちで挑戦しました。
何の定跡も知らない私は、我流の攻撃を仕掛けましたがアッサリかわされ、中盤からは防戦一方と展開となりました。
飛車落ちなのに何故か?「下手が入玉を狙う!」不可解な将棋となりなりました。
私の玉は自陣の中央下段から端の中段まで逃走して、再度下段まで押し戻される展開となりましたが、何とか本田女流三段の攻め!を切らす事に成功しました。
将棋には勝ちましたが局後、広瀬(正)さんから「指導対局としては手数と時間が掛かり過ぎる!」という旨の指摘を受けました。
将棋指しの性(さが)とはいえ、誠に恐縮です。
そして、大変申し訳ありませんでした。
A級決勝 三浦-伊藤健戦 |
クライマックスの決勝は伊藤(健)戦。 決勝トーナメント初戦(大石戦)は、戦況が二転三転する乱戦となりましたが相手の頓死で制勝し、スーパーシード?(広瀬正:談)の為、即決勝戦を迎えました。 決勝戦ともなると流石にプレッシャーを感じられずにはいられませんでしたが、幸い中盤からは若干指し易さを感じる 展開となりました。 そして途中図が、金と飛車の両取りを掛けられた局面(便宜上先後逆)です。
【途中図】 決勝 伊藤健vs三浦 戦 |
私は「ここで受けに回れば、相手の攻めを呼び込んでしまう!」と判断し、勝負手の△3二歩を放ちました。
読み筋は・・・、▼同金は△5二金で即詰。
▼3八桂成で飛車を取られた場合は、△3一歩成▼5一玉に△7二銀成とし、「挟撃体制を敷いて指せる!」と考えました。
△3二歩の後、伊藤さんは▼5八桂成から▼6六桂と「お代わり攻撃」を掛けて来ましたが、私は「△7四飛!と飛車を切って、質駒の銀を入手すれば勝ち・・・」と読み切っていました。最後は、△5二銀打!▼同金△3一馬!▼5一玉△5二銀成▼同玉△5三金(投了)と、「詰め将棋の様な手順?」で終息。
詰が甘い私にとっては、上出来な将棋とりました。
表彰後 A級優勝の三浦さん |
最終プログラムは、恒例の「打ち上げ」の宴。
前回も6戦全勝の優勝で美味い酒が飲めましたが、今回も5戦全勝+指導対局勝星のオマケ付き優勝で、更に美味い酒を飲む事が出来ました。
宴席で幹事役の鈴木(敏)さんから、「次回からは優勝カップが用意され、優勝盾が寄与される」という主旨の説明があり
ました。
これは別の見方をすれば、今回優勝メダルを獲得した私は、「若獅子戦唯一のメダリスト」という箔が付く?とも言えなくもありません。
自分の実力は私が一番把握しておりますが、若獅子戦に出場する限りは向上心を持って、次回からも「美味しい酒が飲める様に頑張りたい!」と思いました。
若獅子戦は創生期から充実期へ入った感もありますが、その裏には『継続は力なり』の格言が示す通り「主催側の‘ご尽力の積重ね’が有ったからこそ・・・」成り得たという摂理を忘れてはいけません。 隠れたエピソードですが、今回は本来17名の参加者で対戦が組まれるところ、進行をスムーズに運ばせるため鈴木(敏)さんが参戦を回避し、幹事及び進行役に徹して下さいました。 私自身も、八戸在住の頃に大会幹事の経験がありますが、自分なら「将棋を指したい病」を断ち切る事は出来ず、例外無く参戦してしまうので、幹事としての鈴木(敏)さんの‘気配り’と‘辞退の決断’には真摯に頭が下がります。
結果として、新趣向が試された第11回大会は、大成功を収めました。
中でも、A級・B級のクラス分けは今後の核となるシステムだと思います。
加えて、何より費用が心配ではありますが、女流棋士による指導対局は魅力が大きく、是非とも継続を願いたいサプライズ企画ではないでしょうか。
更には、次回から導入される優勝カップや優勝盾は、若獅子戦を象徴するアイテムになること必至です。
準選考会の役割を担う若獅子戦が益々魅力を増すことにより、富士通将棋の発展にも貢献できるのではないかと思います。
A級3位決定戦 実藤-大石戦 |
B級決勝 田辺-斎藤戦 |
予選1回戦対局風景1 |
予選1回戦対局風景2 |
本戦トーナメント対局風景 |
本田女流三段による指導対局2 |
本田女流三段による指導対局3 |
表彰後 A級準優勝の伊藤健さん |
表彰後 B級優勝の田辺さん |