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第12回大泉杯集合写真 |
昨日(2/1)行いました第12回大泉杯および懇親会の報告です.
大泉杯は,今回は前回を超える22人の参加があり, 社内Rによる駒落ち制対戦の結果, 杉山さんが全勝で優勝されました. おめでとうございます.
大会後は「牛タン木村 武蔵小杉駅前店」で懇親会を行いました.
参加された皆様,お疲れ様でした. 今回残念ながら参加できなかった方々, 次回のご参加お待ちします.
なお,運営においては,SSLさんに盤駒時計を借用させて頂き助かりました. お礼申し上げます.
結果は以下の通りです.
表彰:
優勝:杉山さん
2位:植木さん
3位:中谷さん
飛び賞(10位):広瀬さん
B/B賞:川上さん
詳細は結果表(PDF) をご覧下さい.
2015/2/2 記:黒木
こんにちは。厄年明けの杉山です。
先日行われた大泉杯富士通最強者戦の自戦記を 書くことになりました。 拙い文章ですが暫しの間、お付き合いを、、
優勝の杉山さん |
戦前、今年の大泉杯は参加メンバーを見ると ずば抜けた実力者がおらず大混戦になると予想していた。 私も運さえ向けばチャンスはあるとは思っていたが 部内大会とはいえライバル達は強者、曲者揃い。 初めてお会いする方もいれば勢いのある若武者も何人かいる。 その上この大会はハンデ戦。 優勝者を予想しなければならない立場であれば 恐らく頭を抱えるであろう。 というわけで1回戦、早速強者、鈴木敏さんとの対局である。
今回は5回戦行われたが私にとってはこの1回戦が 一番頭を使った対局であり、一番内容が濃く面白い将棋だった。
戦型は私の飯島流V.S.敏さんの向飛車。
1回戦図1(図は先後逆)は難解な中盤戦の入り口。 △4五歩としかけられたのに対し、▲2六飛と備えたが 4三の銀を△4四銀と盛り上げられ、ここは思案のしどころである。
【1回戦図1】 1回戦 鈴木(敏)vs杉山 戦 |
図1からの指し手
▲5三歩△4二金▲4五歩(1回戦図2)
【1回戦図2】 1回戦 鈴木(敏)vs杉山 戦 |
図1では次に△3五銀などがあるので忙しいところ。
最初は▲5四歩を考えたが近い将来、後手の飛車や左金で
払いに来た時、5四よりは5三の方が相手にとっては嫌な位置だと思い
▲5三歩とした。△4二金は読んでいた手の一つで、これには
▲4五歩△同桂▲同桂△同銀の後、▲4三歩でどうかと思った。
△5三金なら▲4二歩成△5六歩▲同銀△同銀▲同飛が金に当たる。
△4三同金ならもちろん▲5二歩成。
辛抱して△4一金なら相当の利かしと思う。
だが敏さんの次の一手は私の一連の読みを外したものだった。
図2からの指し手
△5三銀▲3六飛△4三金▲3五歩△5四銀▲4六銀△3五歩▲同飛
△3四歩▲3六飛△5一飛▲6六角△5六歩▲4四歩△4二金(1回戦図3)
【1回戦図3】 1回戦 鈴木(敏)vs杉山 戦 |
△5三銀は全く予想していなかった。
確かに5三の歩を銀で払うのが一番形が良く隙がない感じだ。
しかし次の▲3六飛で私も棋勢の好転を感じた。今までやや苦しいかと
思っていたが▲3六飛が相手の3四歩を狙いつつ将来の△3七角成を消している。
だが△4三金に▲3五歩は疑問手だったかもしれない。
△5四銀と味良く立たれ、ここで▲3四歩は△4五桂▲同桂△同銀と捌かれる。
よって仕方なく▲4六銀だが3筋を収められた後、5筋に飛車が回って
いよいよ敏さんの反撃が始まる。▲4四歩△4二金を利かせた後、さあどうするか、、
図3からの指し手
▲5五歩(1回戦図4)
【1回戦図4】 1回戦 鈴木(敏)vs杉山 戦 |
私の読みは▲5五歩△同銀▲同銀△同角▲5二歩△同飛▲6一銀 △5四飛▲7二銀成△同銀▲5五角△同飛▲5六飛△同飛▲同金 と大きく捌いて玉型の違いでなんとか、、、と思っていた。
だが敏さんも読んでいた。そうはいかない。
図4からの指し手
△4五歩▲5四歩△4六歩▲6四歩△同歩▲4三銀△同金▲同歩成
△4七歩成▲5六飛(1回戦図5)
【1回戦図5】 1回戦 鈴木(敏)vs杉山 戦 |
△4五歩から一気に激しくなった。
途中△4七歩成では△5四飛とされた方が嫌だった。
図5となって、まだ難しいが飛車の働きに差が出て
ちょっぴり優勢を感じた。
図5からかなり進み図6は終盤戦。
【1回戦図6】 1回戦 鈴木(敏)vs杉山 戦 |
敏さんの△3七馬は最後のお願いだがそのお願いが通ってしまう。 何も気づかない私は▲4六歩と馬筋を遮断して 「これで受けがないだろう」としたり顔。 もちろん△6九竜となり、、、、大逆転負け、 となる筈であったが敏さんが急な好転に対応できずにミスが出て 再逆転で杉山勝ち。
中盤あんなに熱い戦いをしたのにお粗末な終盤になってしまった。 決めに行かずに(詰みもあったかも)安全勝ちを狙った私に罪がある。
戦型は角換わりと思いきや大泉さんの筋違い角となる。 筋違い角は偶にやられるが毎回嫌だなあと思う。 この対局では「嫌だなあ」を通り越して序盤から「まずいなあ」となる。
2回戦図1(先後逆)は筋違い角によくある局面から杉山が▲3六歩と突いたところ。 この▲3六歩は次に▲3五歩を見せた手だが悪手である。
【2回戦図1】 2回戦 大泉vs杉山 戦 |
図1からの指し手
△8五歩▲7八金△5四角▲2六飛△8六歩▲同歩△同飛(2回戦図2)
図の局面になって事の重大さに気づいた。以下▲8七歩△3六飛▲同飛 △同角▲8六飛△2七角成となると敗勢である。 かといって△3六飛をどう受けるか。▲6六角などを考えたが △同飛▲同歩△1五角で将棋が終わる。
【2回戦図2】 2回戦 大泉vs杉山 戦 |
図2からの指し手
▲2八飛△3六飛▲4八銀△7六飛▲6八金右△7八飛成▲同金△2七金(2回戦図3)
【2回戦図3】 2回戦 大泉vs杉山 戦 |
仕方なく飛車を引いたが△3六飛に対して▲4八銀も悪い。ここは▲3八銀とするところ。 △7六飛に対しても▲7七桂など考えたが後で桂頭攻めを食いそうで指せなかった。 とはいえ▲6八金右も最悪の部類で図3ではほぼ勝敗が決している。 この後、数十手将棋が続いたが私の悪あがきに大泉さんが手を焼き逆転。 ローカル大会で培った悪あがきがここで役に立った。
序盤で黒木さんに落手が出て杉山が押し切る。
3回戦、早目に終わったため、中谷-三浦戦を観戦していた。 終盤は熱い戦いとなっていたが鋭い手を連発した中谷さんが制した。 この日の中谷さんは鋭く、要注意だと思った。 この対局も鋭さを出される前に終盤の入り口くらいで決着をつけたいところ。
戦型は私の飯島流V.S.中谷さんの向飛車。
4回戦図1(先後逆)は中盤、私が▲4六銀と銀を前線に繰り出したところ。 ここで中谷さんが機敏に仕掛ける。
【4回戦図1】 4回戦 中谷vs杉山 戦 |
図1からの指し手
△2四歩▲同歩△同飛▲2五歩△2二飛▲3五歩△1三桂▲3四歩
△同銀▲3五銀△同銀▲同角△2五飛▲同飛△同桂(4回戦図2)
途中▲2五歩は我慢して▲2六歩か。▲3七銀も考えたがあったかもしれない。 結果的に居飛車側の歩損という向飛車によくある成功例となってしまった。 図2となり、飛車の打ち込みをどう防ぐか、、、
【4回戦図2】 4回戦 中谷vs杉山 戦 |
図2からの指し手
▲2八歩△3六飛▲4六角△4五歩(4回戦図3)
▲2八歩は歩切れとなるも一番手軽に飛車打ちを防げるが どうだったか。 △4五歩は角筋を通しつつ角取りで味が良い手に見えたが 感想戦では△3七歩が勝っていたようだ。 歩切れの先手には次の△3八歩成が受け辛い。
とはいえ角が逃げれば△3七桂成(不成もあるか)から3筋を突破 されるのでここは思案のしどころである。
【4回戦図3】 4回戦 中谷vs杉山 戦 |
図3からの指し手
▲3五飛△4六歩▲3六飛△4七歩成▲4一飛(4回戦4図)
▲3五飛に△同飛は▲同角で今度は△3六飛には▲5三角成がある。 それでも後手は3筋を突破できそうなのでそう指すべきだったかもしれない。 本譜も飛車を取らせて角を取り、と金を作って後手良さそうだが 先手にも狡猾な狙いがあった。 冷静に見ればお気づきだが▲4一飛は△4七のと金を狙っているものではなく 一気の寄せを狙っている。 その後、中谷さん気付かず△3七桂成としたが、すかさず▲3三飛成から ▲6二銀で勝敗が決した。
【4回戦図4】 4回戦 中谷vs杉山 戦 |
決勝戦で二枚落ちの手合いで臨む。 局後の感想だが植木(麻)君は少なくとも私レベルでは 二枚落ちの手合いではないと思う。 また、私の我流と違い基本に忠実な指し方なので 今後大いに伸びてくると思われます。
さて将棋の方は定石どおりには進まず決勝戦図1。(便宜上表示逆)
植木(麻)君は基本どおり玉を矢倉できっちり囲って棒銀の攻め。
付き合ってきっちり指していると棋勢を損ねそうだし
きっちり指すのは私の性に合わないので上手ながら先攻させて
いただくこととした。
【決勝戦図1】 決勝戦 植木(麻)vs杉山 二枚落ち戦 |
図1からの指し手
▲1五歩△同歩▲1三歩△同香▲2五桂△2四銀▲1三桂成△同銀
▲1八香打△1六桂▲同香△同歩▲同香△2四銀▲1四桂△3三玉
▲1二歩△4五歩▲6五歩△6四歩▲同歩△4四歩▲同金△6四角
▲5五歩△4五歩▲5四金(決勝戦図2)
【決勝戦図2】 決勝戦 植木(麻)vs杉山 二枚落ち戦 |
少々無理気味だが端攻めを敢行。▲1二歩で歩成は確定したが その後の1筋の捌きと下手の反撃を余せるかが勝負のカギとなる。 下手は角の活用を図り△4五歩が機敏。 以下4筋、6筋で小競り合いとなって図2に至る。 下手は捌き損なっている8四の銀が遊んでいるのが気になるところ。
図2から数手進んで決勝戦図3。 上手が金で中央を制する一方で下手は左銀が遊び、飛角も十分に働いておらず ここでは上手がやや優勢か。 しかし次の手は上手らしからぬ手かもしれない。
【決勝戦図3】 決勝戦 植木(麻)vs杉山 二枚落ち戦 |
図3からの指し手 ▲5一銀△5二飛▲4二銀成△同角▲3二金△3四玉▲2三と△2五桂 ▲4二金△同飛▲2四角△4一飛▲2二桂成△1七桂成▲2六歩△3六歩(決勝戦図4)
▲5一銀は▲5四銀が勝ったかもしれない。放置は▲5三銀成△同金▲5一角があり △5四同金は▲同歩△4四角に▲6六銀と圧力をかけて良し。 こちらの方が上手らしかったか。
▲5一銀に対する△5二飛が悪手。▲4二銀成に△同角は▲3二金で角を取られ、 △同飛も▲3二金で飛車を取られ、△同玉も▲6三金で飛車角どちらかを取られ、 いずれも大駒を強奪される。 ▲5一銀に例えば△8二飛なら▲4二銀成に△同玉と取って大駒を取られずに済んだ。
本譜は角を強奪して飛車を狙いつつの寄せ。 途中、上部脱出を図って△1七桂成としたが▲2六歩がぴったりで 上部脱出は困難。 図4以下はお互い落手が出て混沌としたがヨレヨレながら私が寄せきった。
【決勝戦図4】 決勝戦 植木(麻)vs杉山 二枚落ち戦 |
ということで怪しいながらも5戦全勝で優勝することができました。 戦前運が向けば、、、、と思っていましたが向いてくれたようです。
大泉杯は今まで3位や準優勝というのはあったのですが私自身、 なかなか優勝に手が届かない大会だったので今回の優勝は非常に嬉しく 光栄で、やっと富士通将棋部の歴史に名前が刻まれたかなあ、という思いです。
来年も是非ディフェンディングチャンピオンとして参加したいと思います。
2015/2/4 記:杉山
対局風景1 (2回戦) |
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対局風景2 (2回戦) |
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対局風景3 (2回戦) |
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準優勝の植木(麻)さん |
3位の中谷さん |