2010 東西合宿参加報告
第26回富士通グループ将棋交流会


日時
2010年6月19日(土)〜6月20日(日)
場所
リステル浜名湖
対局結果
結果表:順位順(pdf)
総括
成績優秀者
志田 5-0、鈴木敏4-1、中谷4-1
多田4-1、奥村4-1、西田4-1 (敬称略)


恒例の集合写真 (拡大)


対局風景 1日目の模様
手前は西田vs鈴木敏戦

指導対局の模様

プロジェクタを使用した解説会風景

対局風景 2日目の模様

対局風景 2日目の模様
手前は3連勝同士の中谷vs鈴木敏戦

成績優秀者コメント:志田 5-0

2010年合宿 運営記 兼 優勝記

 川崎地区)志田です。今回は幸いにして優勝させていただきましたので、イベントレポートということで駄文を少々。 運営モードの内容と対局モードの内容が混在する点はご了承ください。

 東京川崎地区が幹事として運営に当たったこの合宿では、微力ながら、宿との折衝役、手合い係などを務めさせていただいた。 特に宿を決めたのが自分とあって、万一、ハズレ宿だったらどうしようと、将棋よりそちらで頭が一杯だったのが正直なところ。

 さて当日。景気づけに昼食にうな重を食って宿に入ると、広々とした対局場は見事なレイクビュー。 雨続きで窓が汚れていたのが誠に残念だった。 欠席者もなく、盤駒、大盤に、プロジェクタ、それに賞品も無事に揃って、一安心。

 さて対局は20分30秒で5ラウンド。

 1回戦の相手は大阪の竹村さん。将棋に熱心なことでは富士通将棋部No.1であろう。職団戦や大学対抗戦のたびに関東にも遠征してくださるおなじみの顔であり、棋力も互角の相手。
 先手竹村さんの早石田、早めに▲7四歩と来たので、こちらは△6二銀〜△7二金で受けて金銀を盛り上げていく形。 優勢を築くも攻め急ぎで負けにしてしまい、指しているだけの終盤だったが、 竹村さんにも攻め急ぎがあり、気が付いたらこちらは詰まず、向こうは受けなしになっており、負け将棋を拾った。
 途中、冷静に一手必死を掛けられれば投了だったが、 秒読みが続いて頭に血が昇った状態ではそれが出来ず、つい直接手に手が行ってしまうもの。 身に覚えがありすぎる。

 2回戦は池田さんと。東京川崎地区きっての変態戦法の使い手(失礼)。
 相中飛車の出だしから、池田さんが暴れこちらは丁寧に面倒を見る展開に。 最後は綺麗に詰めろ飛車取りがかかって勝利。

 3回戦の相手は野村さん。 長年にわたる明石の中心人物であり手ごわい相手なのだが、今回は序盤で野村さんにらしからぬポカがあり、短手数で勝ち。

 この後は、恒例の勝又先生の解説会。角換りを中心にいつもながら濃密な内容。最近の将棋は居飛車/振り飛車の境界があいまいというか、変幻自在でカメレオンのようだ。 宴会は料理たっぷり。腹がほぼ満たされたところにさらにご飯、味噌汁、うなぎが出てもはや満腹、そこにデザートのスイカでとどめを刺された。こういう合宿にくると体重が増えてしまうのが困る、というのも贅沢な悩みではある。

 部屋に戻り、風呂に入ってワールドカップを眺めつつ、明日の対戦を考える。
 「東西交流」合宿なのだから、出来る限り別拠点の人と当てるのが基本なのだが、この時点で全勝が五人。 そのうち四人が川崎地区、もう一人も川崎職団戦や大学交流戦で日ごろ御世話になっているSSLの鈴木敏さんとあって、 これは同拠点だろうとなじみだろうと当てざるを得ない。 あとはなんとか全敗の人に目を開けてもらいたいとつらつら考えつつ、大筋だけ手動で決め、あとは自動組み合わせ機能を利用した。
 ちなみにこの自動組み合わせ機能は広瀬正さんの力作であるエクセルのマクロ。残念ながら今回は不参加だったが、広瀬正さんには拍手。

 さて明けて2日目、4回戦は大屋さんと。 社会人になってから伸びた人で、昔は飛車落ちだの角落ちだので指していたものだが、いまや互角に近い相手であろう。
 先手の大屋さんが筋違い角の奇策に出て、「えーと腰掛け銀から4五の位を取るんだっけ」と指していたが、位取りを拒否された第1図。 咎め方が分からない。△4五歩、▲同歩、△3三銀、▲2五角、△4五銀もないではないが、▲6五歩と突かれてかなり怖い上に結局歩を打たされそうな気がしてやめてしまった。
 結局、無難に組んで第2図。 がっちり組みはしたがやはり▲3五歩の位が大きく、あまり自信がない。

【第1図】
4回戦 志田vs大屋戦

  【第2図】
4回戦 志田vs大屋戦

 以下は攻め合いになり、大屋さんの銀冠を生かした指し回しに手負けの形勢と思っていた第3図
【第3図】
4回戦 志田vs大屋戦

第3図からの指し手
▲3三桂成 △同金 ▲同金 △同桂 ▲2五桂 △2一桂
▲3四銀 △3二金 ▲4三歩成(第4図)

 このあたりで先手にすっきりした勝ちがあってもいいと思うのだが、今考えてもなかなか難しい。 第一感は▲3四桂、△同銀、▲同歩だが、これは△4三金、▲同歩成に△2七金、▲同玉、△3五桂で先手玉が詰む。 実戦の進行が正解なのかも知れない。
 本譜は第3図以下、▲3三桂成、△同金、▲同金、△同桂、▲2五桂、△2一桂、▲3四銀、△3二金、▲4三歩成(第4図)と攻められた。 これがきわどく詰めろになっていないと見て、 「とりあえず詰めろ」と△1五歩に、▲3二と以下詰まない玉を詰ましにきてもらったので勝ちになった。
【第4図】
4回戦 志田vs大屋戦

  【仮想図1】
4回戦 志田vs大屋戦

△1五歩に対しては▲同歩でもいいし、 ▲3三銀成、△同金、▲同桂成、△同桂、▲3四桂、△1二玉、▲3三と(仮想1図)とでもして1一の香を影にしておけば自玉の詰めろが消え、 先手勝ちだった。
 相手の攻め急ぎでまた負け将棋を拾う。


対局風景 2日目の模様
手前は4連勝同士の志田vs中谷戦
 最終戦は中谷さんと全勝同士の決勝戦となった。
 中谷さんの振り飛車は決まったようなものなので相振りも考えたが、双方の攻撃力が高い相振りは危険かも、と考え直し、マイペースで戦うべく、昔取った杵柄で居飛車棒銀に出て第5図

【第5図】
5回戦 志田vs中谷戦

第5図からの指し手
▲7八飛 △8六歩 ▲8六同歩 △9五銀 ▲8八飛 △6五歩
▲9六歩 △6六歩 ▲9五歩 △6七歩成 ..

 先手四間飛車の陣形は、▲3六歩▲3七桂に代えて▲9六歩▲7八飛なら普通の進行で、 以下▲5九角△7二飛▲4八角△7六歩▲同銀△6五歩▲6七金が代表的な定跡手順。
 本譜では▲5九角が間に合っていないので、今にして思えば▲7八飛に△7二飛▲5九角△7六歩▲同銀△6五歩で居飛車が成功形。 対局中は、▲9六歩を省いているのを咎めてみようと、少し形が違うが加藤流で攻めるつもりで第5図から▲7八飛に△8六歩と突いてみた。 ▲同角なら△6五歩、▲同歩、△9五銀、▲同角、△8七飛成のつもり。 中谷さんは▲8六同歩とし以下△9五銀、▲8八飛、△6五歩、▲9六歩、△6六歩、▲9五歩、△6七歩成と派手な振り換わりになったが、数手後の△6六歩(第6図)が先着一名様の一手で、以下▲同金に△7九角と打ち、4六に角を成り返って一応仕掛けは成功。
【第6図】
5回戦 志田vs中谷戦


 この後は自然な手を続けて優勢になったが、温泉気分で突いた第7図の△1五歩がまた勝ち急ぎの危険な一手だった。
【第7図】
5回戦 志田vs中谷戦

第7図からの指し手
▲6九香 △6八歩 ▲同香 △4九馬
▲6六馬(第8図)
  【第8図】
5回戦 志田vs中谷戦

第8図からの指し手
△3九銀 ▲同馬 △同馬 ▲同玉
△5七角 ▲4八銀 △6八角成
 勝負手▲6九香を食って、△6八歩、▲同香、△4九馬、▲6六馬で第8図。 ▲6九香自体が見えていなかったわけではなく、ここで△1七銀、▲同香、△1八金、▲同玉、△1六歩で寄せて勝ちと見てここまで指してきたのだが、改めて読み直してみると以下▲同香、△同香、▲1七歩、△同香成、▲同玉、△1六歩、▲2六玉(仮想2図)で馬取りと▲1二飛が厳しく残り、これは負けだと思い軌道修正。
 やむを得ず第8図で△3九銀と打ったが、▲同馬、△同馬、▲同玉、△5七角、▲4八銀、△6八角成となっては▲6九香以下のやり取りはほとんど飛車香交換の取引である。 第7図の時点で、仮想2図までを見据えて手を選択しなければならなかった。 いったん△6一飛で充分な局面だった。

 かくしてリードは吹き飛び、以下は自陣にべたべた金やら底歩やら打って二枚飛車を受け止める長い将棋になったが、最後はなんとか寄せきれた。

【仮想2図】
5回戦 志田vs中谷戦

  【仮想3図】
5回戦 志田vs中谷戦

 蛇足ながら後日の検討を記しておく。 対局中は見えなかったが、実は仮想2図では△1四桂、▲1六玉、△1五歩で詰みがある。
 では第8図で△1七銀で決まりだったかというとそうとは言えず、 仮想2図の一手前、普通に▲1六同玉(仮想3図)がある。 対局中は△2四桂があるので指しづらいと思い、読みを後回しにしていたが、実際には以下、
(1) △1五歩には▲1七玉(▲同玉は△1四香で詰む)、△1六香、▲2六玉
(2) △2四桂には▲1七玉、△1一香、(▲1四歩、△同香)▲1六歩
(3) △1一香には▲1五歩、△2四桂、▲1七玉、△1五香、▲1六歩(または▲2六玉)
でいずれも先手玉に寄りがなく、後手負けのようだ。
 やはり第6図の△1五歩は勝ち急ぎだった、というのが私なりの結論。 もし仮想2図での詰みが見えていたら、 この順に踏み込んで仮想3図となり負けていたかもしれない。 そうなればせっかくの優勝を逃す大きな自爆となったことだろう。

 一度ならず負け将棋を拾ったり、自爆寸前で踏みとどまったりと幸運続きで優勝できたが、 総じて、「攻め急ぎ」「勝ち急ぎ」の怖さを改めて考えさせられる内容だった。
 が、内容や個人成績よりも、運営役を務めた合宿がともかくも無事に終わったことが嬉しい。俺も古くなったなあ。

 ともあれ、総合幹事の黒木さん、合同手合い係の中谷さん池田さん、盤駒やプロジェクタの運搬に手を貸して頂いた皆さん、参加された皆様、そしていつもながらフル回転の勝又先生、ありがとうござました。
 来年は大阪が幹事役です。また楽しい合宿にしたいものです。 皆様、よろしくお願いします。

記 :志田 (6/28)

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