大泉杯 集合写真 |
1回戦の対局風景 |
2回戦の対局風景 |
4回戦の対局風景 |
1/21(土)に行いました第9回大泉杯および新年会の報告です。
大泉杯は、今回は14人の参加があり、 社内Rによる駒落ち制対戦の結果、 鵜木学さんが全勝で優勝されました。 おめでとうございます。
今回、
3局目、
鵜木さんと杉山さんの対局は、レーティングでは二枚落ちのところ、
杉山さんが敢えて平手で挑戦。
杉山さんは残念ながら勝利はできなかったものの、4局目を勝ち準優勝。
4局目、
鵜木さんと林さんの全勝同士の対局もレーティングでは四枚落のところ、
林さんは敢えて飛車落ちで挑戦。
こちらも残念ながら勝利はできず、林さん3位。
お二人とも残念でしたが、チャレンジ精神には感服です。
3位の林さんと4位の広瀬(正)さんはソルコフ、SBとも同点となりましたが、
レーティングの増減の大きいほうを優先としました。
対戦結果は結果表(PDF)をごらんください。
今回、SSLさん(特に鈴木敏さん)には 会場および棋具を貸していただき、大変お世話になりました。 この場を借りてお礼申し上げます。
大会後は「いろはにほへと」で新年会を行い、 楽しいひと時を過ごすことができました。
参加されました皆様、お疲れ様でした。 今回残念ながら参加できなかった方々、 次回のご参加お待ちします。
4回戦の対局風景 |
4回戦の対局風景 決勝局となった鵜木vs林吾戦 |
優勝の鵜木さん |
準優勝の杉山さん |
3位の林吾さん |
4位の広瀬正さん |
5位の黒木さん |
10位の伊藤健さん |
BB賞の鵜飼さん |
大泉杯には今回初参加させていただきましたが、 駒落ちの大会というのは面白かったです。
中筋さんの中飛車に対して、位取りの作戦を取りました。
【第1図】 1回戦 中筋vs鵜木 角落戦 △5二金まで |
第1図は上手が△5二金と手待ちをした局面です。
ここで中筋さんが指した▲7七角がうまい打開でした。
上手は△8七飛成の一手ですが、
▲8六飛とぶつけて飛車交換になり、
5二金の離れ駒がひびく展開になりました。
以下、下手優勢のまま終盤戦に突入しました。
【第2図】 1回戦 中筋vs鵜木 角落戦 △5七歩まで |
第2図は上手が△5七歩と打った場面です。
上手は飛車を取ることに成功しましたが、 その間に5筋にと金を作られた上に駒損も大きいので、 下手が手勝ちの局面です。
実戦は以下、▲5七同金、△9九竜、▲4八金打、△2五桂、
▲5三と、△3七桂成と進み、逆転したと思いました。
下手にとっては5七金が受けに効かなくなってしまったのが痛いところです。
第2図では次に△5八歩成としても下手玉はまだ何でもないので、
▲1五歩と攻め合いに来られていたらハッキリとした一手負けでした。
また、実戦の△9九竜に対してもやはり▲1五歩とされていたら、
飛車を渡すと上手玉が詰むので指す手がありませんでした。
辛勝ですが、何とか一回戦を突破しました。
中筋戦と同じく、下手が中飛車の作戦でした。
【第3図】 2回戦 広瀬正vs鵜木 角落戦 △5二飛まで |
第3図の△5二飛が上手の工夫した手です。
中筋戦では7筋〜8筋方面でうまく手にされてしまったので、
今回は右辺には手をかけずに飛車を2一まで持って行き、
玉頭戦にする作戦を採りました。
ここから▲2六歩から銀冠を目指してこられましたが、 上手が2筋からの攻めを狙っているので▲6六角〜▲7七桂〜 ▲8六歩を急ぐ指し方も有力だったかもしれません。
作戦的には成功したと思いましたが、
下手に自然に指されると上手は駒が少ないので、
簡単には攻めになりません。
上手としては、
ある程度下手に攻めてもらって力を溜めてから反撃することを心掛ける必要があります。
【第4図】 2回戦 広瀬正vs鵜木 角落戦 △2五桂まで |
第4図は△2五桂とハネた局面です。
8筋突破が確実なので、上手はとにかく攻めるしかありません。
実戦は以下、▲4七金寄、△5五歩、▲同角、△5四銀、▲6六角、 △5五歩、▲同銀、△同銀、▲同角、△3六銀、▲3七歩、△4七銀成、 ▲同金、△5七金、▲同金、△同桂成と進行しました。
第4図では▲2六金と逃げる方が勝ったかもしれません。
上手としては桂を入手して△3六桂の筋でどうなるかですが、
自陣の金銀が攻めに使えないので攻めが薄く、
何ともいえない勝負のような気がします。
実戦は銀交換をして△3六銀と打ち込む形になったので、 うるさい攻めになったようです。 △5七桂成とこちらに成ることができたので優勢を意識しました。
ただ、 この後自分の方も寄せで間違えて詰むや詰まざるやの際どい終盤になってしまいましたが、 何とか残っていました。
相掛かりの出だしから珍しい形の棒銀になりました。
【第5図】 3回戦 杉山vs鵜木戦 ▲2六銀まで |
第5図は先手が▲2六銀と進出した局面です。
以下、△4五銀、▲6六飛、△3四歩、▲7六飛、△4二銀と進みました。
▲3六飛〜▲2六銀が面白い構想で、△3四歩を牽制しています。
このまま棒銀で突破されてはひどいので、
△4五銀と飛車の逃げ場を打診しました。
対して▲6六飛とした手を局後杉山さんは悔やまれており、
単に▲7六飛なら実戦より一手得の可能性がありました。
▲6六飛は△3四歩に▲6四飛と取ると△5四銀で飛車が捕獲できるため、
良くなかったようです。
【第6図】 3回戦 杉山vs鵜木戦 |
進んで第6図の局面になりました。
後手は一歩損しているので、
その代償に6五の飛車を狙っていきたいところです。
実戦は△4四角、▲7七桂、△5四銀として飛車を捕獲することに成功しました。
以下、▲8五飛には△7七角成がありますし、
▲6六飛としても△同角、▲同歩、
△6七銀(▲同金には△7八飛)が痛烈なので後手優勢となりました。
林さんとはこの対局の2週間前に和室例会で対局したばかりで、 その時も飛車落ち戦でした。
【第7図】 4回戦 林吾vs鵜木 飛車落戦 ▲4四歩まで |
和室例会の対局も同様の仕掛けでしたが、
第7図との違いは1筋、2筋の突き合いがなかったことです。
その時は▲4四歩に対して△同銀、▲5六桂の展開でした。
今回は2筋の突き合いがあるため、
ここで△3二銀と引く手が成立します。
もし下手が2七歩型ならば▲6四桂、△6二玉、▲2六角として攻めが決まりますが、
2六歩型だと最後の▲2六角がないため簡単にはいきません。
ただ、
2筋の突き合いを入れてしまうと▲2五歩を絡めて攻める手があるので実際の損得は微妙です。
ですが、実戦のように攻めてきた時は上手が得をすることになります。
【第8図】 4回戦 林吾vs鵜木 飛車落戦 ▲4八桂まで |
作戦成功で気が緩んだというわけではないのですが、
その後の△3七銀は冴えない手でした。
銀を使わずに△4七歩と打ち、▲同飛なら△3六角成、
▲同金なら△5九銀を狙った方が良かったです。
第8図の▲4八桂がいい頑張りの手でした。
ここでも△4八同銀成から飛車を抑えにいくべきだったかもしれません。
実戦は△2六馬としましたが▲3六金と打たれて混戦になってきました。
【第9図】 4回戦 林吾vs鵜木 飛車落戦 △1九飛成まで |
第9図は(3九から)△1九飛成と香を取った局面です。
この手で△6七歩は▲6九金で大したことがありませんし、
△3七飛成と金を取るのも竜がソッポになってしまいます。
香を拾って次の△6七香に期待しました。
ここで林さんが指した▲5六桂は遊び駒を使う本筋の一着でしたが、 △6七香の攻めが厳しく、再び上手が良くなりました。
ここでは平凡に▲4二とが有力でした。
この手には△同銀とすれば5二の銀取りになるので下手が忙しくなると思っていましたが、
そこで▲4一角と打つのが局後林さんに指摘された好手で、
次の▲6三銀打が非常に速い攻めとなります。
変化はありますが▲4二とと指されていたら下手が有望だったと思います。
危ない将棋もありましたが、運良く4連勝で優勝することができました。
約15年ぶりに優勝のメダルをもらえて嬉しかったです。
駒落ちは平手とは違う定跡や変化がたくさんあって奥が深いので、
こういった機会があるのはとても良いことだと思いました。
来年も是非出場させていただきたいと思います。